秋深まるニューヨーク。イツァーク・パールマンさんとNYフィルのコンサートに行ってきました。
でも今回は、私一人で、子供はおばあちゃんとお留守番。
オペラの次に大好きな、バイオリンの演奏。特にバイオリンのコンチェルトはメジャーなものからマイナーなものまで、大好きです。
オペラが好きになったきっかけは、小学校の頃に声楽を習っていたことよりも、映画「アマデウス Amadeus」(1886)のインパクトと、1990年のイタリアでのワールドカップの前夜祭「3大テノールコンサート@カラカラ浴場」を観たからかも。
でも、オペラにさらりと興味を持てたのは、やっぱりクラッシク音楽をバックグランドに聴いて育ったからだと思います。子供のころ、学校から帰ると、私を迎えてくれるのは母と、お紅茶と、母がレコードで聴くメンデルスゾーンのバイオリン協奏曲。それがたまにパガニーニのバイオリン協奏曲になったりもして。
私の母は、偏ったクラシック音楽ファンで、聴く音楽は、ベートーベンの交響曲とチャイコフスキーのバレエ音楽、そしてメンデルスゾーンとパガニーニ。音楽の時間に学ぶ、音楽の父のバッハも、ヘンデルも、シューベルトも、そしてモーツアルトも母は聴いてなかった。(と思う。そして…今、これを読み直して…ふと…。この作曲家のチョイス・・・激しすぎる(汗))
それを思うと、大人になってクラシック音楽を自分から聴くようになると、バイオリンを聴きたくなるのは、当然なのかもしれません。
やっぱり、クラッシック音楽にしても、オペラにしても、違和感を持たずに聴けたのは、母のおかげです。私の姉も同じ。姉妹でクラッシックも、オペラも、ロックやポップと同じぐらい自然に好きです。
私の子供たちも、クラッシック音楽やオペラを自然に受けとめて聴いているので、やっぱりこれも、私の母の無意識な伝授があったからだと思い、感謝。
さて、パールマンさんを初めて聴いたのは、たぶん25年前くらい。。。ロンドンで。でもその前に、ピンカス・ズッカーマンさんのベートーベンのバイオリン協奏曲を聴いて大感動して、バイオリンもっと聴きたい病が始まりました。
パールマンさんと、ズッカーマンさんは、現在のクラッシク音楽界の頂点に立つ一人のピアニスト兼指揮者のバレンボイムさん、若くして亡くなったチェロの天才チェロリストのジャクリーン・デュプレさん(バレンボイムさんの前妻)、ととても仲が良く、彼らのシューベルトのピアノ5重奏曲「ます」はとても有名です。(指揮者のメータさんが、コントラバス!)なので、ズッカーマンさんを聴けば、やっぱりパールマンさんも。。。かなと(笑)
数年前のパールマンさんの、リサイタルで、彼のバイオリンの音色はとても深く、最初はびっくり(笑)で、大感動でしたが、やっぱり、オーケストラと聴きたいと思っていたので、今回のコンサートで、期待はマックス。
第1曲目は、ベートーベンのRomance in G major for Violin and Orchestra, Op.40、そして、次にRomance in F major for Violin and Orchestra, Op.50。どちらも有名な小曲で、ロマンチックな中にも、おっとりした優美さがあって、パールマンさんの演奏にぴったりのような気がしました。実はこの曲のCD、昔から持っていて、パールマンさんの優しい表現が大好きなんだけど。ベートーベンもこれを作曲したときは、心が平素だったのかな、とか思いながら、聴いてたりして。
この2曲の後、マエストロ・パールマンは、バイオリンを指揮棒に持ち替え、ブラームスのAcademic Festival Overture, Op 80と、同じくブラームスの交響曲4番を振りました。
感想:う~ん。。。。。。。どうなんだろう~。いやああああああ。素晴らしいんだけど。でもこれって、パールマンさんの指揮が素晴らしいのか、NYフィルが素晴らしいのか?? みなさん、あんまり指揮者を見てなかったわよね~? でも面白かったのは、指揮をするパールマンさんの左手は、バイオリンの弦を常に滑ってるかのような動き。特に第1バイオリンに向かっては、すごかった(笑)。もう自分で見えないバイオリンを弾いちゃえ!?みたいな勢い。これ、オケのバイオリニストは、プレッシャーでしょうね。オペラでもないのに、オペラグラスを持参した甲斐あり、彼の左手をずっとオペラグラス越しに見つめる約40分
でも、パールマンさんも71歳。4歳でポリオになってしまい、それが原因で足が不自由な人生になってしまったけど、その芸術性は、神から授かったとしか思えない程、素晴らしいアーティスト。本当に楽しそうにバイオリンを弾く姿は、聴衆をみんなハッピーな気持ちにさせてくれる偉大な芸術家。でも、もうチャイコフスキーや、ベートーベンや、パガニーニのバイオリン協奏曲を弾くことはないんだろうなあ…。体力的にも無理なのかもしれない。バイオリニストの王と言われた、ヤッシャ・ハイフェッツ氏も71歳で引退されたらしい。
なんだか、感動のなかでも、少し寂しい気分で終ったコンサートでした。
パールマンさんのベートーベンお薦めCD
これは、ドキュメンタリー、”ピアノ5重奏曲「ます」『シューベルト;偉大なる愛と偉大なる哀しみ』”の一部。舞台裏の”才能あふれるおふざけ”。音楽ファンには、たまらない一コマです。1969年。みんな若い!
そしてこちらがDVD。。。日本語字幕付きも売ってますよ。